アストゥリアス皇太子について。王の長女という報道はひどすぎる!

 

紙などの素材を使った被災地での建築で知られる坂茂(ばん・しげる)さんが「スペインのノーベル平和賞」とも呼ばれるアストゥリアス皇太子賞のConcordia賞を受賞されました。今回の賞金はウクライナでの仮設住宅に使うそうです。

 

坂さんは2014年に世界の建築賞であるプリツカー賞も受賞されています。

 

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これに関する日本での報道で気になったのが、2点。まずは「アストゥリアス皇太子賞」の訳です。

 

アストゥリアス皇太子Príncipe de Asturiasとはスペインの王位継承権を持つ第一王子のことです。スペインは王女でも構わず、王の第一子が王位継承権一位なので、現在はレオノール王女がPrincesa de Asturiasとなりました。

 

それに伴い、この賞もスペイン語で、Premios Príncipe de Asturias ではなく、Premios Princesa de Asturiasに変更されました。

 

皇太子ではなく、直訳だと皇太女になるわけですが、そんな日本語は耳慣れません。

どんな表記になってるか皇太子 Wikipediaで見てみました。

(注・Wikipediaは間違いも多いのですので、鵜呑みにしてはいけませんが)

 

 

そうすると、注釈で、要人の来日についての報道発表において、スウェーデンの「Kronprinsessan」であるヴィクトリア王女について、「ヴィクトリア・スウェーデン王国皇太子殿下」としている[2]

 

とあります。外務省のページのリンクで表記の確認もできました。

 

もともと日本語では男性名詞・女性名詞の区別はなく、「子」は男女どちらも表す言葉としても使われますから、女性であっても皇太子で大丈夫のようです。つまり、「アストゥリアス皇太子賞」は正しいとなります。

 

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もう1つ気になったのは「スペイン国王フェリペ6世の長女レオノール王女が賞を授与した」という表現です。

 

坂さんの受賞を紹介したすべての日本の報道が同じ表現だったので、もとになった報道のせいだと思いますが、「国王の長女」の表記はひどすぎるじゃないでしょうか。自分の名前のついた授賞式で。

 

これはアストゥリアス皇太子がスペインの王位継承権一位を指すことも、それが現在誰なのかも分かっていないように見えます。

 

以前はフェリペが皇太子だったので、アストゥリアス皇太子と呼ばれていました。まさかと思いますが、彼が一生涯アストゥリアス皇太子だと勘違いしていないかとさえ思いました。報道機関は過去に何度もフェリペがアストゥリアス皇太子、という表現をしたはずですから。(国王になる前)

 

 

アストゥリアス皇太子であるレオノール王女が賞を授与した

スペインの皇太子であるレオノール王女が賞を授与した

 

こんな表現でも良かろうと思います。

どなたか報道関係者の役にたつかと思い、記事にしてみました。

 

 

 

 

 

 

久保建英選手のチーム決定!ビリャレアルかビジャレアルか!?

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久保建英選手のチームが正式決定しました。報道を見ていて、たまーに出版にかかわる人間からすると、ビジャレアルの日本語表記が気になります。なぜかというと、世界一予約が取れなかったレストランのエルブジ。あれは完全に間違いなまま日本に浸透してしまったからです。報道を見てると、ビジャレアル、ビリャレアルどちらも見受けられます。
 
スペイン語ではLLAはリャが正統発音ですが、マドリッドやアンダルシア州ではジャの発音が浸透し、もはやどちらが主流かわかりません。逆にスペイン語が標準語ではない地域、カタルーニャやバスクではリャのままの発音です。決してLLAをジャという言い方はしません。カタルーニャ語ではJAがジャです。(スペイン語ではJAはハと発音)
 
私はスペイン語学科だったため大学で正統派を保つように指導されましたし、公式で発言する場所ではマドリッドの人もリャで話してるように思います。確かにサッカー関係の報道は公の場所でもジャで発音してますが、普通のニュース報道ではアナウンサーはリャで発音しているように思うのですが。
レアル・マドリッドの公式ツイッターもビリャレアルです。
現代の報道はできるだけ現地の発音に沿う表記方針ですが、スペインのような地方によって違う場合は悩みます。
悩んだら正統スペイン語にするか、現地の人たちの発音に沿うのが良いと思うのですがどうでしょうか。
FCセビージャはさほど気になりません。アンダルシアの人たちは完全にジャで発音するので、、、。
ビリャレアルはバレンシア州ですが、現地はどうなのでしょうか?言語としてはカタルーニャ語に近いバレンシア語圏ですが、スペイン語化が進んでいた地方です。ジャと呼ばない地域なのに、ジャの読み方で呼ぶのは抵抗があるので、現地の方向を知りたいです。
バレンシア州出身の私の友人たちは皆、母国語はバレンシア語ではなくスペイン語です。しかしリャで発音します。バレンシア州、アラゴン州などのもとカタルーニャ語圏の人たちはリャで話すのです。ですからビリャレアルもジャとは言わない気がするのですが。
ビジャレアルの公式サイトではビジャレアルになっています。
しかし日本語に訳してる人が、この問題に考えず、ビジャと表記しているかもしれないので、なんとも言えません。
ちなみにバレンシア語ではVila-realと書き、バレンシア語で発音するならビラ・レアルとなります。チームの最初のスペイン語の挨拶ビデオで久保選手はビリャレアルで発音していたように思いますが、聞き取りづらかったので100%の自信はありません。(記者会見はまだ見てません)
 
日本の報道は大手報道機関はビリャレアルが多く、サッカー関係はビジャレアルを使ってるように感じました。Villarealチームのツイッターの日本語はビジャレアルでした。チームがそれを使うならそれなのでしょうが、翻訳者・通訳者がジャ・リャ問題を深く考えて表記したのか知りたいです。
なお個人で使うにはビジャレアルでも大丈夫です!
マドリッドやアンダルシアへよく行くスペイン語通の人は「ジャで発音した方が恰好いい!」感もあり、それで発音するのも現地人っぽいので、自由です。
エルブジは話しが違います。あれはスペイン語ではなく、カタルーニャ語だったので、ジャジュジョ読みしてはいけません。完全に間違いだったので、正しいとは言えません。お客様がエルブジに行きたいと町でタクシーに乗っても話が通じない現象が起きました。最初に訳したマドリードの通訳が、ジャジュジョ読みをしてしまったから、という話でした。カタルーニャではLLAはジャとは絶対に読まない!と覚えておきましょう。


今度のはスペイン語なので、ジャかリャかは人によりけり。どちらも通じますし、どちらも間違いではありません。
ただ2つある場合にどちらで統一すべきか。
報道機関や公式サイトなどの表記をどうするか?の話です。
大学のスペイン語学科で「ジャで発音しないように」と指導を受けた私としては、ジャはどうしても崩した言い方のイメージ。友達同士の会話ではないのだから、本当は1つに統一した方が良いだろうし、話し言葉と正式な言葉遣いは違うので、よく考えて報道するべきだろうと思っています。
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